アジア農民共に生きる会会報

Association of Asian Farmers for Cooperative Living (AFCoL)

〜有機農業によってアジアの農民の自立に協力しよう〜

発行:2005年5月 第10号

この活動の現状について
屋後浩幸

 ブラスタギで活動を始めてから2年半以上経ちました。今回は現地の現状についてお伝えします。
 まず、畑ですが土の肥沃化と並行して多くの野菜が栽培できるようになりました。例えば、以前かなり困難だったジャガイモが雨季でもそれなりの物が収穫で き るようになりました。消費者の方からも最近のジャガイモは大きくなったと言われます。確かに以前はビー玉のようなジャガイモをお届けしていました。その他 にはほうれん草やビート(砂糖大根)などなど。現在、約25品種の野菜を栽培して“有機野菜”としてはまずます納得できる物ができています。
 消費者の数も口コミで広がり、週平均で約20軒の各家庭に毎週野菜を届けています。ただ、ここ数ヶ月の間に消費者が急に増えてきたので野菜の量が不足し て います。去年の今ごろはせっかくできた野菜も消費者がほとんどおらず、市場に安い値段で卸したり、畑で腐らせていた状況がウソのようです。また現在は、野 菜配送用の車があるので配達もスムーズです。多くの方が味の違いや健康に対する意識から私たちの野菜を理解し、継続して食べておられます。そしてその消費 者の方々が知人や友人を紹介して下さります。現地農場の自立運営は未だに出来ていませんが、少しずつ有機農業やその生産物が理解され始め、その可能性が見 えてきました。

           〈畑の収穫物〉

 前回の会報で戸松さんが書いておられた、新規圃場も現在土作りを始めています。以前、水田だった場所が10年近く放置されていたので当初は潅木が茂って い る悲惨な状況でした。その内の一部で開墾が済み、緑肥としてトウモロコシを植えています。最終的には新規圃場で鶏の飼育も考えているので、有畜複合の有機 農業を展開できると思います。
 また、毎月のように現地NGOの知人から農業セミナーでの講演依頼や現地農民と共に当活動の農場訪問があります。消費者だけでなく生産者(農民)側でも 有 機農業に対する関心は高まってきているのを実感しています。ただ、未だに現地の有機農産物の市場は小さいのでこれまでの農薬などを使用した農法から有機農 業に転換する人は皆無です。自家製有機肥料(ボカシ肥)の使用や畑の一部を有機農法にして自給用の野菜を作り始める人も現れ始めました。
 2年半前はスマトラには有機農業についてほとんど何も無かった状況でした。有機野菜作り、その消費者の増加と食に対する意識の高まり、また新規農場の開 設 や現地農民の有機農業に対する関心の高まりなどなど。最近特に少しずつですが全てが好転してきているように思います。この流れに乗り、この活動を更に有意 義なものにしていきたいと思います。

     〈新規圃場での畝たて作業〉

有機農家にとって難しい時
ギンティン

 以前のアジア農民共に生きる会の会報で私の文章を読んでいただきありがとうございました。その時、なぜ私がこの活動に参加し始めたのか、またメダンやそ の 近郊での有機農産物の消費者を探す事が如何に難しいかを書きました。市場開拓は単に暑さで大量の汗をかくだけではなく、望みの無さやストレスとも戦いまし た。現在、有機農産物の市場は徐々に状況が良くなり消費者の数も増えました。
 起伏の無い人生なんてありません。なにか問題が一つ解決できればまた違うものが現れてくる。現在、その消費者を探す事はそれ程大きい問題ではありませ ん。 しかし、消費者が注文する野菜の量と畑で生産している野菜の量を如何に合わせるか?それが、現在の問題です。
 現場からの野菜配送が難しくなってきているとの意見から(以前は、野菜をビニール袋や衣装ケースに入れて公共バスで各家庭やお店に運んでいました。)、   数ヶ月前戸松さんがこの活動に中古のミニバンを購入してくださりました。そして、それは私にとっても車を運転できる機会を与えてもらえ嬉しい事でした。
 上述のように、色々な問題が解決してはまた新しい問題が出てきます。そして、生産量が消費者の注文量よりかなり少ないのが現在の問題です。消費者は増え て、作付けを増産しても虫や天候によって野菜はダメージを受けています。この現状は上手に管理できていません。
 私が生きる会の活動に参加してから11ヶ月が経ちます。最初の数ヶ月は、有機野菜の見た目の悪さとその価格の高さから市場開拓が一番の問題だと思いまし た。そして今、消費者の需要量に如何にして生産量を合わせるかが一番難しく感じます。
 この期間にここで学んだ事は、インドネシアで、例えば忍耐の無い者、資金の無い者、時間の無い者、意欲の無い者そしてすぐ諦めてしまう者が、有機農業を 行 う事は難しいという事です。そして、日本とは違ってインドネシアには秋がありません。害虫は日本の様に時期によって減る事はなく、いつも生息し活動してい ます。
 よって、有機農業をこの地で成功させるには長い時間が必要です。辛い状況を耐えられる能力が一番の鍵です。それが無ければ、有機農業はすぐに飽きてしま う 物になるでしょう。
 
   〈東京農大生のブラスタギ農場訪問〉

有機農業について
エリカ エルビアニ

   私の両親は農業を営んでいます。小さい頃から、田んぼや畑仕事を手伝ってきました。現在インドネシアの農民の状況はよくありません。農民は化 学肥料や農薬を使わずに、収穫物を得ることができません。そして、使用する化学肥料や農薬、種子の価格はますま す高くなり、また中には品質が低下していく物もあります。そして、農民はそれら市販されているものにさらに依存していきます。結果的に、収穫物とその生産 に係ったコストを比較すると赤字です。そして、農業で家族を養っていく事は困難になっています。しかし私は自然に沿った農業があると思います。

(野菜の仕分け作業)
 私は、以前北スマトラ大学で農業を学びました。そこで私が得たものは、作物の生理学や養分学、栽培環境学そしてインドネシア政府によって導入されたイン ドネシアでの“緑の革命”についても学びました。
 大学での勉強を通して、在籍中に私が思ったのは、如何にして農民は自立した生活を送る事ができるか?どのようにして、疲弊した土壌を肥沃化していくか? 農民の生活を向上させるにはどうしたらよいのか?そして、どのようにして農薬や化学肥料を使用していない安全で健康な食べ物を生み出すか?
“有機農業”が、私の抱えている問いの答の一部になると思います。大学を卒業した3月上旬から、私はアジア農民共に生きる会で有機農業を学んでいます。そ して、ここで有機農業について色々と学びたいと思います。いままで、有機農業についての知識や畑仕事を通して学べたものは、とても意義のあるものです。例 えば、現在使用している畑の土壌状態は既に良好です。それは、輪作や有機物と自家製のボカシ肥料の使用、農薬や化学肥料の不使用が挙げられるでしょう。ま た、微生物の働きも無視できないでしょう。それら全てが結果としてよい土を生み出したと思います。
 農家以外でも、“緑の革命”の被害者である消費者の事も忘れてはいけません。消費者は食べ物を食べる事しかできず、その食べ物が如何にして作られたか知 る事は出来ません。
多くの研究機関が化学物質を体内に摂り込む危険性と科学物質の環境への悪影響を指摘しています。WHOは世界中で年間300万人が農薬による何らかの悪影 響を受けていると報告しています。そして、化学物資の何らかの作用によって、腎臓、肝臓そして肺の病気、ガンなどで20万人の人が亡くなっています。
 その為、多くの人々が有機農産物を求めたり、環境問題に取り組んでいます。
 いつの日かアジア農民共に生きる会で有機農業を学んだ研修生やインドネシアの農民がインドネシアの各地で有機農業を始め、有機農業で自立でき、また多く の人々が健康に生活できることを望んでいます。神様が望んだように人間やこの地球が良いものであるように。

       〈消費者への野菜配送〉

スマトラ沖地震への寄付について

 昨年暮れに発生したスマトラ沖地震に対して、多くの方から寄付を頂きました。総額200、840円を皆様からお預かりし4月7日にメダンにあるNGO Sintesa(シンテーサ)に渡しました。
 震災後、半年経った現地アチェ州は未だに非常事態の状況です。食料や飲料水、衣料品、そして医療がいまだ不足しているとの報告をSintesaから受け ま した。その為、皆様から頂いた寄付はそれら生活に最低限必要な物に活用して頂けるように依頼しました。具体的にどのようなものに皆様の寄付が現地で活用さ れたかは、後日Sintesaから報告を受けます。
 スマトラではその後二アス島でも大地震があり、多忙との事で今回の会報に記事を掲載できなかったことをお詫び申し上げます。
皆様本当にありがとうございました。
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